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第51回 第50回のやり残し [複素解析]

第51回 やり残し


前回、50回の②の証明をするにゃ。


αg(z)の1位の零点とする。ただし、h(α)≠0とするにゃ。

そして、このz=αを中心として、h(z)g(z)をテーラー展開すると、

よって、

となる。

となるからだにゃ。

で、

の解だけれど、

となる。


で、留数定理が実積分と具体的にどう関係するか、ちょっとやってみるにゃ。


問題 次の積分を求めよ。


【解】

この積分をIとする。

で、

となる。

こうすると、θ=0は原点を中心とする単位円|z=1になるよ。

ということで、

となる。

の極はz=a,1/a。よって留数は、51回の②式より―――つまり、分母だけzで微分する―――

となるにゃ。

ここで、気をつけないといけないのが原点を中心とする半径1の円|z=1にどちらの留数が含まれているか。

a>1のときは、z=aは円の外、z=1/aは円の中にあるので、留数定理より、


a<1のときは、z=aが円の中にあるので

となる。

2つ合わせて書くと、

となる。
(問題終わり)

この積分は、普通の微分積分の知識を使って求めようとしても簡単には求まらないにゃ。



記事の閲覧者が減っているにゃ [ひとこと言わねば]

さすがに、留数定理ともなると閲覧者が減るね。
予想はしていたのだけれど、ちょっと動揺を隠せない。

ですが、この留数定理の有り難みは、定積分の計算で遺憾なく発揮される。


  




といった積分が留数定理を使うことで計算できるようになる。
こうした定積分を実関数の範囲で求めようとしたら、職人芸的な技を使わないことにはまず求められない。
だから、知っておいて損はない。
このあたりの詳しいお話は年が明けてから。









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第50回 留数を求める方法 [複素解析]

第50回 留数を求める方法


留数とは、孤立特異点αを中心とする関数f(z)のローラン展開を

  
とした時の−1次の係数のことで

  

のことですにゃ。また、αにおける留数をRes(α)と簡単にあらわす。


と、前回の内容を復習し、今回は留数を求める方法を紹介しますにゃ。


最もオーソドックスな方法としては、実際に関数f(z)を孤立特異点αのまわりでローラン展開するというものがある。たとえば、次のような関数の場合を考えてみるにゃ。

  

この関数の特異点はz=0だにゃ。

この関数の分子であるは複素平面全体で正則だから、z=0で次のようにテーラー展開(マクローリン展開)ができる。

  

だから、f(z)のローラン展開は次のようになる。

  

よって、z=0における留数は

  siki-50-03.png

となる。


で、前回、1位の極αにおける留数の求め方を紹介したにゃ。その方法とは、

  

というものだにゃ。

上の関数の場合だと、z=0は1位の極だから、この方法を使うことができる。

  

当然の話だけれど、同じ値になる。


1位の極αにおける留数を求める方法は次のようなものがある。

g(z)αを1位の零点とする正則関数、h(z)αを零点としない正則関数とするとき、z=αにおけるh(z)/g(z)の留数は

  

である。


この証明は次回に回すことにするケロ。


この方法を使うと、次のように計算できるケロ。

  

とすると、g(z)は正則であり、零点はα=0である。h(z)は正則でz=0h(0)=0にならないのでz=0は零点ではいので②を使うことができる。

  

となるにゃ。

当然のことながら、求めた値は同じになる。


また、この方法を使うと、前回やった

  

の特異点での留数は次のように簡単に求めることができる。計算を簡単にするために、特異点をαとするにゃ。

  

α=±iaだから、これを上の結果に代入すれば良い。

この場合くらいならば、①の方法でも②の方法でも大差はない。

だけど、

  
となると、計算量が全く違ってくるにゃ。

計算を簡単にするために、a=1とするけれど、②を使うならば、

  

となるにゃ。そして、あとは

  

を解いて、代入すればいい。


ここで改めて言うけれど、①と②が使えるのは、αf(z)の1位の極の場合だけだにゃ。1位の極以外では使えないので注意するケロ。

で、より一般のn位の極の場合は、
α
n位の極とすると、そのまわりのローラン展開は

  

となるので、

  

これを(n–1)微分し、z→αという極限をとると、生き残るのはだけなので

  

となるにゃ。


問題 次の関数の特異点における留数を求めよ。

  

【解】

  

なので、z=0は2位の極、z=1は1位の極である。

z=1における留数Res(1)は、①より

  siki-50-01.png

z=0における留数は、③より

  

となる。


第49回 留数と留数定理 [複素解析]

第49回 留数と留数定理


今まで長々と話してきた複素解析は、今回お話する「留数定理のためにあると言っても過言ではない」ほど重要な定理。


留数
α
を関数f(z)の孤立特異点とし、αを中心とするローラン展開を

  
とするとき、この整級数の–1次の係数留数という。
これを

  
またはRes f(z)とあらわす。

ローラン展開の定義より

  

となる。ここで、Γはその周上および点αを除いた内部でf(z)が正則である閉曲線である。


①式を留数の定義に使ってもいいにゃ。


①式を見ればすぐにわかるけれど、

  

だと言っているんだケロよ。f(z)が孤立特異点αをグルッと取り囲む閉曲線Γの内部で正則であれば、Γに沿っての周回積分は留数に2πiを掛けたものだと言っているんだケロよ。どんな方法でもいいから留数を求めさえすれば、積分なんて面倒な計算をしなくていいってことだにゃ。スゴイと思わない。

ずっと前に

  

のとき、αを中心として半径r>0の円Cに沿ってf(z)を積分すると、

  

という話をしたにゃ。

f(z)=1/(z–α)の–1次の係数の係数は1だから留数は1だにゃ。だから、これに2πiを掛けたものが積分の値になっている。n=2,3,…のときは0だから、0になっている。


なお、この時、αが孤立特異点になっているのはわかるよな?

しかし、積分路である閉曲線Γの内部にf(z)の孤立特異点が一つでなく、複数個ある場合もあるにゃ。

ということで留数定理。


留数定理

定理(留数定理)

関数f(z)が単一閉曲線Cを境界とする領域に有限個の孤立特異点を持ち、これら以外ではCを含めて正則であるとき、

  

 

【証明】
図のように、各のまわりに互いに交わらないような円をかく。

zu-49-04.jpg


この各について
  

が成立する。
また、コーシーの積分定理の系1より

  

が成り立つので、
  

となる。

(証明終わり)


では、どうやって留数を求めるか。これには幾つか方法がある。


f(z)の孤立特異点αを中心とするローラン展開を求め、その係数を求めるというのがもっともオーソドックスな方法だろうけれど、これは一般的にかなり大変。


ということで、今回はもっとも簡単な方法を紹介するにゃ。


αf(z)が1位の極の場合、αにおけるローラン展開は

  
という形になっている。

だから、上の市の両辺にz–αを掛ける。そうすると、

  
となるので、z→αという極限をとると

  

となる。


では、1位の極における留数を求める簡単な問題を解いてみるにゃ。


問題 次の関数の特異点における留数を求めよ。

  

【解】

  

となるので、z=±iaは1位の極である。

よって、

  

となる。


ちなみに、極というのは、1/f(z)が0になる点だにゃ。第47回の系を見てほしいニャ。





コーシーの積分定理の系1
C
は領域Dの中にある閉曲線であり、Cの内部にあって、かつ互いに他の外部であるような閉曲線である。さらに、Cで囲まれた領域およびその境界はDに含まれている。f(z)が領域Dで正則であるとき、次の等式が成り立つ。
  

「第47回特異点」の系

孤立特異点αf(z)の極であるための必要十分な条件は、α1/f(z)n位の零点であることである。


数学だけでは色気がないので、曲と動画紹介♪ [ひとこと言わねば]

数学の記事だけでは、さすがに色気がないので、曲と動画を紹介。









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第48回 解析接続 [複素解析]

第48回 解析接続


一致の定理
まずは、第46回で出てきた「一致の定理」を再掲します。


定理A(一致の定理)

f(z)を領域Dで正則とする。D内の点α

  
ならば、D全体で恒等的にf(z)=0である。


そして、上の定理Aを元に新たな「一致の定理」が導かれるにゃ。


定理B(一致の定理)

関数f(z)が領域Dで正則であり、D内の点αに収束する点列上でならば、f(z)D内で恒等的に0である。

定理Bは何を書いているかわからないと思うケロ。

複素平面全体で正則な関数f(z)があるとするにゃ。で、α=0という点に収束する点列、たとえば、

  

というものがあるとする。

このとき、飛び飛びの点のすべてで

  
となれば、f(z)は恒等的に0だと言っているんだケロ。


ということで、この定理を証明するにゃ。


【証明】

f(z)D内の1点で0でないとする。

すると、

  
となる正の整数lが存在する。

そうすると、

  
となるDで正則な関数g(z)g(α)≠0)が存在する。

だ・か・ら、十分小さな正数ρ>0をとると、0<z–αf(z)が零点を持たないようにできる。
これは仮定に矛盾する(※)。

よって、f(z)D上で恒等的に0である。
(証明終わり)

(※)を付けたけれど、何で「矛盾する」となるかわかるケロか?
数列の極限値はαだにゃ。ということは、任意の正数ε>0に対して、十分に大きな正の整数Nをとれば、

  
となるにゃ。εは任意の正数だからε=ρとできて、

  
となるは、かならず存在する。

だから、


となり、は零点となる。
0<
z–αにはf(z)の零点がないはずなのに、この中に零点が存在する。

「だから矛盾する」となるんだケロ。

それで〜、何でこの定理が「一致の定理」と呼ばるかというと、次のような理由による。
領域D内で定義されるという2つの正則な関数があるとするケロ。

で、とする。すると、f(z)D上で正則な関数だにゃ。そして、f(z)D上で恒等的に0であれば、となるというわけ。


当たり前のことだにゃ。


だけれども、定理Bの主張は、Dの点αのごくごく近い部分や曲線のほんの僅かな切れ端の所だけで一致していれば、は同じものと言っているんだにゃ。そして、これは次の解析接続の話につながってゆく。



解析接続
2つの異なる領域がどちらも領域Dを含み、で正則、で正則であり、かつ、Dにおいてであるとする。

zu-49-1.jpg

このとき、への解析接続という。逆にへの解析接続という。
への解析接続はただ1つしかない。
何故ならば、への解析接続をg(z)とすると、Dにおいて恒等的に
  


が成り立ち、一致の定理よりになるからである。

同様に、への解析接続もただ一つである。

ということで、

f(z)ではではと一致する関数とすると、f(z)で合わせた領域で正則となる。

このことは、で定義されたの定義域を、正則性を変えずにで合わせた領域に拡張したことになる。

このように正則性を保ちながら関数の定義域を拡張していく操作のことも解析接続という。

これまでに何度も出てきた関数だけれども、

  siki-49-01.png

とする。
1/(1–z)z=i/2のまわりでテーラー展開することにする。
zuu-49-03.jpg
|z−i/2|<1/2で正則なので、この範囲でテーラー展開できるにゃ。n階の導関数を求めると、
  siki-49-02.png
となるので、

   siki-49-03.png

となり、テーラー展開はi/2を中心とするテーラー展開は

  siki-49-04.png
となる。
この右辺の整級数は|z–i/2<1–i/2=√5/2の時に収束するので、

  siki-49-05.png
と定義すると、この関数は|z–i/2<√5/2で正則。

もともと|z<1で定義されていた関数が|z<1と|z–i/2<√5/2と合わせた領域に解析接続されたことになる。

こういうふうに関数をドンドンとつなげていけるといった話だにゃ。そして、繋げに繋げていって、最終的に得られた関数のことを解析関数という。



第47回 特異点 [複素解析]

第47回 特異点


関数f(z)が点z=αで正則でないとき、αf(z)特異点という。

f(z)0<z–αρ>0)で正則であり、点z=αで関数f(z)が定義されていないか、定義されていてもz=αで正則でないとき、α孤立特異点という。

また、孤立点の集積点となっている点を集積特異点という。
  siki-47-01.png
たとえば、

  

という関数があるとすると、この関数はz=1z=2以外では正則。だから、z=1z=2は孤立特異点。

また、次のような関数

  

の場合、特異点はz=0±π±2π、…で、これ以外の点では正則なので、孤立特異点ということになる。

集積特異点の例としては、

この場合、z=1/nn=±1,±2,±3,…)は孤立特異点。しかし、z=0は集積特異点となる。


αf(z)の孤立特異点であるとする。十分小さな正数ρをとると、f(z)0<z–αで正則だから、次のようにローラン展開が可能。

  

右辺、第2項は0<z–αで収束する。
そして、第1項

  
をローラン展開の主部、もしくは、主要部という。


ということで、ローラン展開の主要部で特異点が3つの場合に分類できるんだにゃ。

(ⅰ)除去可能な特異点:ローラン展開の主要部がない場合、

  


(ⅱ):主要部が有限の場合

  

このとき、正整数nを極α位数といい、αf(z)という。


(ⅲ)真性特異点:主要部が無限級数の場合



除去可能な特異点の例としては、たとえば

  

という関数の特異点z=0

sin(z)は複素平面全体で正則だから、z=0まわりで次のようにテーラー展開ができる。

  

だから、z≠0

  

f(z)z≠0では定義ないけれど―――z=0だとsin(0)/00/0になる!!―――、

  
なので、これを用いて、

  
と定義すれば、z=0という特異点を除去することができる。


実関数の微分のところでやったけれど、

  
の証明になっているにゃ。


話を元に戻して、除去可能な特異点の場合、

  siki-47-03.png
となるので、

  

になるケロ。

 ―――何故、こうなるか分からない人はz=αとするにゃ。そうすると、z–α=0となり、以外は0になる―――

だ・か・ら、

  

と定義すると、f(z)は点αのまわりでテーラー展開できることになり、αにおいても正則になって特異性が除去できる。



定理

αf(z)n位の極であるための必要十分条件は、f(z)

  
とあらわされることである。ただし、φ(z)αで正則、φ(α)≠0とする。

【証明】

必要条件

αn位の極だから
  

となる。

  
とすると、

  
となる。これは収束する整級数であるから、φ(z)は正則であり、

  
であり、①式のように表せる。


十分条件

φ(α)は正則なので、αまわりでテーラー展開が可能。

  

これを①に代入すると、

  

とローラン展開されることになり、αn位の極である。

(証明終わり)

から
  siki-47-04.png
だにゃ。αf(z)の極だからφ(α)≠0なので、α1/f(z)n位の極になっているにゃ。

 

孤立特異点αf(z)の曲であるための必要十分な条件は、α1/f(z)n位の零点であることである。


一番最初に出た

  siki-47-05.png

の場合、

  siki-47-06.png

となる。z=1は③の1位の零点、z=2は2位の零点だから、z=1f(z)の1位の極、z=2は2位の極となる。

また、

  siki-47-07.png

となるので、これから極αの位数を求めることもできる。

これを使うと、②の場合、z=2が2位の極であることは

  
から分かる。

n=3にしたら、この極限は0になるので、n=3は位数ではないケロよ(^^)




第46回 零点 [複素解析]

第46回 零点


零点とは、関数f(z)に対して、f(α)=0となる点α零点という。


例えば、

  f(z)=z(z–1)
という関数があるとすると、z=0z=1が零点になる。

そして、いきなり、一致の定理を提出する。

定理(一致の定理)
f(z)
を領域Dで正則とする。D内の点α

  
であるならば、Dで恒等的にf(z)=0である。

証明は、結構、長いので感覚的に理解してもらうことにするにゃ。

f(z)Dで正則なので、α∈Dαの近傍で次のようにテーラー展開できるにゃ。

  
そして、

  

だから、αの近傍|z–αのすべての点zf(z)=0となる。

なのだけれど、そうは簡単にいかない。例えば、次のような領域Dだと塩梅が悪い。面倒な議論をしなければならない。

taylor-series.jpg


ということで、これは天下り的に証明抜きでいただくことにするにゃ。

f(z)
が領域Dで正則な関数であり、D内で恒等的にf(z)=0でない、つまり、D内でf(z)≠0の点が少なくとも1つあるとする。このとき、αD内におけるf(z)の零点とすると、上の定理より

  
となる正の整数nが定まる(※)。このnを零点αにおける位数という。またαf(z)n位の零点であるという。


(※) 存在しないならば、となり、D内で恒等的にf(z)=0になってしまうにゃ。


f(z)αの近傍でテイラー展開すると

  

ここで、

  
とおくと、

  

となり、は正則であり、

  
となる。

よって、十分小さなρ>0をとると、|z–αで点α以外でf(z)は0にならない(※)。


(※)は正則なので連続。よって、も連続となり、任意の正数εに対して

  
となるρ>0が存在する。

  
とすると、

  

となるにゃ。だから、十分小さなρをとると、z=α以外では

  
だにゃ。


ということで次の定理が得られたにゃ。

定理
関数f(z)が領域Dで正則であるとき、D内で恒等的にf(z)=0でないならば、D内にあるf(z)の零点はすべて孤立している。すなわち、αf(z)の零点とするとαの十分近くにはα以外に零点は存在しない。

なんか難しいことを書いてあるように見えるかもしれないけれど、そんなに難しく考えることはないにゃ。

  
だったら、αn位の零点だし、βm位の零点だにゃ。

だから、最初に書いたf(z)=z(z–1)の場合、z=0z=1ともに1位の零点となる。

また、sin(z)の場合、たとえば、z=0のとき、sin(z)=0になる。で、f(z)=sin(z)微分すると、

  
となるケロ。

  
よって、零点0sin(z)の1位の零点ということになる。


第45回 ローラン展開するにゃ [複素解析]

第45回 ローラン展開するにゃ

次のような関数があるとしますにゃ。

  
この関数はz≠3で正則な関数。


で、これをz=1を中心として展開することにしますにゃ。
z–1<2ならば

  

となるにゃ。

z–1>2ならば

  

と展開できるにゃ。そして、これは2<z–1<+∞f(z)=1/(z–3)に一様収束する。


こういう展開が前回やったローラン(Laurent)展開と呼ばれるもの。
ちなみに、|z–1<2の場合はテーラー展開と同じになっており、ローラン展開の主部は存在しない。
2<
z–1<+∞の場合は、ローラン展開の主部のみになっている。

では、もう一つ。

問題 次の関数をz=1を中心にローラン展開せよ。

  

【解】

  

ということで、

  
を考えるにゃ。

z–1<2のときは、

  
になる。

そして、2<z–1|のときは、

  

となるにゃ。

この計算には、

  
を使っているにゃ。


ということで、
ローラン展開は、
z–1<2に対しては
  

となるにゃ。

この時は、ローラン展開の主要部は

  
だけだにゃ。

2<
z–1<+∞に対しては

  
になるんじゃなかろうか。
こちらは、ローラン展開の主部だけで構成されている。


第44回 ローラン展開 [複素解析]

第44回 ローラン展開

aの近傍で、aを除き、f(z)を正則とする。その領域内にaを中心とするの円を書けば、f(z)に挟まれた円環との周上で正則となる。
この円環内に点zをとり

  
を考える。

zu-44-3.GIF

そうすると、

  
となり、

  
となる。


コーシーの積分公式より、

  

なので、

  
となる。


①の右辺第1項は、テーラー展開でやったように

  siki-44-05.png

となり、これはzの内部にあるとき収束する。
の第2項は|ζ–a<z–a|、つまり
  
だから

  

となり、①の右辺の第2項の積分は項別積分が可能で

  

よって、

  siki-44-07.png

となる。


また、被積分関数が正則な範囲で積分路を変更しても積分の値は変わらないので、次の定理が成立することが分かる。

定理

関数f(z)が円環領域で正則であるとき、この領域においてf(z)は次のような形に一意的に展開できる。

  


上の定理で得られたf(z)の展開を、aを中心とする(aのまわりの)円環領域siki-44-08.pngにおけるf(z)ローラン展開といい、②であらわされた級数をローラン級数という。

  
をローラン級数の主部という。


上の定理ではに分けたけれども、これは次のように書くこともできる。

  
と③は、まったく同じ式です。そして、③式の形式の場合、ローラン級数の主部は

  siki-44-01.png

となる。


ちなみに、関数をローラン展開するとき、②や③を使って係数を求めるなんて恐ろしいことはしないにゃ。この積分の計算は、まず、出来ない(「不定積分を初等関数で表せない」などの意味)と考えた方がいいにゃ(^^



では、簡単な問題を一つやってみるケロ。


問題 原点を中心としてをローラン展開せよ。

【解】

   siki-44-02.png

で、指数関数のテーラー展開を利用するにゃ。

  siki-44-03.png

さらに、ζ=1/zを上の式に代入すると、
  siki-44-04.png