So-net無料ブログ作成
検索選択

第13回 正則な複素関数の性質 [複素解析]

第13回 正則な複素関数の性質

前回紹介したコーシー・リーマンの関係を使って正則な関数の性質を幾つか調べてみることにしますにゃ。
コーシー・リーマンの関係とは

  

微分の記号を書くのが面倒なので、

  

と略記することにするにゃ。

例1 f(z)が領域Dで正則で、次の条件のいずれかを満たせば、f(z)Dで定数である。
 (1)f'(z)=0 (2)Re(f(z))=定数 (3)|f(z)=定数

【証明】
(1)f(z)=定数なので、f(z)=cとおくと

  

となる。


また、

  

となるので、

  

となり、uとvは定数となる。
よって、f(z)は定数。

(2)Re(z)=u=定数だから、

  

また、コーシー・リーマンの関係
  

より

  
となり、uとvは定数。

よって、f(z)は定数である。


(3)

  

となる。
x、yで偏微分すると、

  

で、コーシー・リーマンの関係を使うと

  

となるにゃ。

で、

  

となる。

それで、

  

で、uとvは定数となり、f(z)は定数。
また、

  

となり、(2)よりf(z)は定数となる。
いずれの場合もf(z)は定数である。


ちなみに、(1)のf'(z)=0というのは、領域Dに含まれる全てのzについてf'(z)=0のことなので注意して欲しいケロ。


たとえば、

  

となるにゃ。

ということで、特定の点でf'(z)=0だからと言って、f(z)=定数となるわけじゃないにゃ。この点は注意して欲しいにゃ。


例2 正則な関数

  

uとvが連続な2次の偏導関数を持つとき、次の関係式が成り立つ。

  

【解】

コーシー・リーマンの関係より

  

2次の偏導関数が連続なので

  

となり、

  
となる。

また、

  
となり、

  



例2から、正則な関数ならば、uとvはラプラス方程式

  
を満たすことがわかるんだにゃ。そして、ラプラス方程式を満たす関数を調和関数と呼んだりするケロ。

第12回 コーシー・リーマンの関係式 [複素解析]

第12回 コーシー・リーマンの関係式

複素関数w=f(z)微分可能性、正則性を判定する便利な(?)定理を紹介しますにゃ。

定理

f(z)が領域Dで定義された関数であるとき、

  
とおく。

f(z)が領域Dにおいて正則であるための必要十分な条件は、uとvがDにおいて全微分可能で、

  
が成り立つことである。

証明は、結構、大変だにゃ。

【必要性】
f(z)
は正則(微分可能)なので、

  

が存在する。

で、Δz=Δx+iΔyとすると、

  

となるにゃ。

こういう言い方はちょっとインチキなんだけれどΔy=0とすると

上の式は

  

となる。

同様に、Δx=0とすると、

  

となる。

このことから、

  


【十分性】

uvの偏導関数が連続、つまり、全微分可能であるとすると

  
となる。

で、コーシー・リーマンの関係式を使うと

  

故に、

  

だから、微分可能。

―――十分性の証明は高木貞治の『解析概論』からパクったにゃ。真面目にやろうとすると、式が長くなって大変なんだケロ―――

欲しいのは、コーシー・リーマンの関係式だにゃ。
そして、

  

という結果だにゃ。

前回、は微分可能じゃないというのをやったにゃ。このとき、u=xv=−yとなるので、

  

となって、コーシー・リーマンの関係式を満たさない。



では、問題を一つ。

問題1 z=0で微分可能だが、正則でないことを示せ。


【解】

  

よって、

  

となる。
よって、uとvの偏導関数は連続なので全微分可能であり、また(x,y)=(0,0)において

  

となるので、(0,0)で微分可能。
しかし、z=0以外では微分可能でないから、正則でない。

問題2 次の関数の微分可能性を論じるケロ。 

  

【解】

これが微分可能で正則であることは前回やっているんだけれど、コーシー・リーマンの関係を使って証明してみるにゃ。

  

となるにゃ。

だから、

  

になる。
そして、これらの偏導関数は連続なので、uとvは全微分可能。

また、

  

となって、コーシー・リーマンの関係を満たすにゃ。

よって、定義域の全点で微分可能であり、正則である。

ちなみに、この微分は

  siki-12-1.png

となり、

  eq-11-2.png

という微分公式にn=2としたものと一致している。


第11回 複素関数の微分 [複素解析]

第11回 複素関数の微分

f(z)
は領域Dで定義された(複素)関数とする。zがD内の点aに近づくとき、
  
の値がzの近づき方に無関係に有限な値に近づくならば、この有限値をf(z)aにおける微分係数といい、f'(a)であらわす。このとき、f(z)a微分可能という。

すなわち、
  

である。

このあたりは1変数関数の微分と形式的に同じ。

そして、すぐに次の定理を提出し、証明しますにゃ。

定理
f(z)
aで微分可能ならば、f(z)aで連続である。


【証明】

  

よって、f(z)aで連続。

また、複素関数の微分可能の定義は実数の1変数関数の微分可能性の定義と形式的にまったく同じなので、

  

のとき、

  

が成立するにゃ。


(Ⅰ)と(Ⅱ)はあまりに明らかなので証明しないにゃ。
(Ⅲ)の証明は
  
となるにゃ。

(Ⅳ)は、このまま証明するのは阿呆だにゃ。

  

これと(Ⅲ)を使えば、(Ⅳ)になるにゃ。

だって、f(x)/g(x)=f(x)(1/g(x))なのだから・・・。


ここまで何か文句があるケロか?

それで〜、
複素関数w=f(z)が定義される領域Dの全ての点で微分可能のとき、f(z)D正則という。
このとき、領域Df(z)の導関数f'(z)、すなわち、

  

が定義できるにゃ。

導関数の記号として

  
というのも使われるにゃ。


このあたりも実数の1変数関数の微分と同じだケロ。

で、

  

が成り立つにゃ。

証明は、数学的帰納法を使って次のようにやるといいにゃ。


n=1
のとき

なので、成立。

n=kのとき成立すると仮定するにゃ。


それで、n=k+1のとき、


となるので、(1)式はn=k+1のときにも成立する。
数学的帰納法より(1)は成立する。


また、⑨を使うと、z≠0のとき、

  

だ・か・ら、
(1)は負の整数の時にも成り立つ。

つまり、
  eq-10-2.png

が一般に成り立つにゃ。


このあたりまでは実数の1変数関数とほとんど同じなのだけれど、複素関数はかなり曲者だケロ。この曲者ぶりをちょっと紹介するにゃ。

問題 次の関数は原点で微分可能か

  eq-10-3.png

【解】
例によりまして、y=mxにそって原点に近づけるさせるにゃ。

  eq-10-4.png

だから、上の式x→0とした時の値はmによって変わるにゃ。

つまり、原点で微分可能ではない。


原点だけではなく、
  eq-10-5.png
は複素平面上の全ての点で微分可能ではない。

f(z)=z=x+iyは複素平面の全点で微分可能、つまり、正則なのに、
f(z)=x−iyだと全点で微分可能でないのだから、不思議だろう。

と同時に、
このことから、複素関数の微分可能性、正則性という条件が非常に強い条件だということが分かるんじゃないだろうか。



第10回 複素関数の連続 [複素解析]

第10回 複素関数の連続

a
w=f(z)の定義域Dに属し、

が成り立つとき、f(z)aで連続という。

すなわち、

どのような正の数ε>0に対しても、正の数δ>0を適当に定めて


となるとき、f(z)aで連続という。

ちなみに、前回勉強した極限との連続の定義の違いがわかるかにゃ。


極限の定義は、極限値をlとすると


となるにゃ。
ちょっと違うにゃ。
極限では、a∈Dである必要はないけれど、連続の場合はa∈Dだからなんだにゃ。

それで、連続の定義である①式を見るとわかるけれど、これは実関数の①変数関数の連続の定義と形式的に同じなので、関数f()g(z)z=aで連続であるとき、


z=aで連続になる。


証明は、極限の証明とほとんど同じなので省略するにゃ。

それで、前回やった時と同じように複素関数f(z)=u(x,y)+iv(x,y)と実部と虚部に分けて、


とすると、



は同値になる。

抽象的な話ばかりしてもイメージがわかないと思うので、問題を。


問題1 次の関数は原点で連続か?


【解】
(1)xyが直線y=mx(mは実数の定数でx>0)にしたがって原点(0,0)に近づくとするにゃ。


このx→0の極限を求めると(求めるまでもなく)

となるにゃ。

この極限はmの値によって変わるにゃ。しかも、これは0じゃないにゃ。

よって、z=0で連続でない。


(2)は


それで、z→0とすれば、


となって連続となる。


ε-δ論法を使って証明するならば、任意のε>0に対してδ=εとすれば、


よって、z=0でこの関数は連続。


さらに、問題を。

問題2f(z)aで連続ならば、次の関数もaで連続であることを示せ。

【解】


そして、



何か、文句あるケロか?


abを複素数とすると、共役複素数には



という関係がある。
これを②で使っているにゃ。

また、③では、三角不等式の


を使っているケロ。



それで〜、
定義域Dの全ての点でf(z)が連続であるとき、f(z)Dで連続な関数といいますにゃ。



第9回 複素関数の極限 [複素解析]

第9回 複素関数の極限

D
を定義域とする複素関数f(z)の次のように定義しますにゃ。

w=f(z)
の定義域をDとし、
どのような正の数ε>0に対しても、正の数δ>0を適当に定めて

となるようにできるならば、zに近づいたときf(z)は極限値αに収束するといい、

または


とあらわす。

ねこ騙し数学の記事も多すぎてどこにあるかわからないけれど、これは微分積分の時にやった1変数関数の極限の定義とほとんど同じもの。


だから、

 

が成立するにゃ。

基本的に証明は同じなので、ネコ騙し数学のどこかで書いてある証明を見ていただきたいのですが、(Ⅰ)だけ証明してみますにゃ。

ε-δr論法語でそれぞれ書き換えると、次のようになる。

それで、

とすると、


となる。

よって、(Ⅰ)が成立する。


ちなみに、min(a,b)は、aとbのうちで大きくない値を返す関数のようなもの、数学的記号。、aとbを比較して、aがbより小さければaで、a>bならばb、そして、a=bならばaとbのどちらの値でもいいにゃ。
a≦b
ならばaa>bならばb。このことをあらわす記号だにゃ。

ついでだから、(Ⅱ)も。
これはもっと簡単で、

として、


となるにゃ。

ε-δ
論法の復習をかねて、ちょっとやってみたにゃ。



これで今回はおしまいといきたいのですが、さすがにそうはいかない(^^

z=x+iy
のとき、となるので、次の関係が成立するにゃ。


この証明は前に何度もやったので証明はしないケロ。

この不等式を使うと、


となるにゃ。

このことから、

だって、ならば、よりになるにゃ。ハサミ打ちの定理からこうなるにゃ。
同様に、ならばとなり、ハサミ打ちの定理よりになるので、上のことが成立する。


また、f(z)=u(x,y)+iv(x,y)α=a+ibとすれば、



が同じだということがわかると思うにゃ。


で、ちょっと問題を一つやってみるにゃ。

問題 次の極限値を求めよ。
 eq-9-1.png
【解】

ちょっとわかりづらいかもしれないけれど、分子はzの共役複素数のこと。

 eq-9-2.png

になるにゃ。

で、y=mxにそってz=0つまり、原点(0,0)に近づけるにゃ。

そうすると、

 eq-9-3.png

こうなって、

 eq-9-4.png
こうなるにゃ。
この値は、mによって変わって、一つの値に定まらない。
つまり、この値は(x,y)→(0,0)によって変わる。これは極限値が存在しないということを意味するにゃ。



1変数関数の極限を復習したい人は、ねむねこ幻想郷の姉妹ブログ・「ねこ騙し数学」の
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17-2

http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-02-19
などを見るにゃ。

ねむねこ幻想郷にも同じ記事があるはずだけれど、ねむ猫幻想郷では記事が多すぎて探すのが面倒だにゃ。
数学関係のバックナンバーを見るならば、ねこ騙し数学のほうがいいにゃ。

そのために作ったんだにゃ、あのブログは。


第8回 複素平面の集合の間違いの訂正 [お知らせ]


この開区間の中心0を円の中心、そして、a∈(−r,r)とすれば、


となって、(−ρ,ρ)⊂(r,r)になる。aやrだとわかりづらいという人は、r=1として、a=1/2でもa=1/3としてください。
そうすると、ρ1/22/3になるので、(1/2,1/2)⊂(1,1)(2/3,2/3)⊂(1,1)になるにゃ。そういう話です。


ここに間違いがあるにゃ。
正しくは、
(0,1)⊂(−1,1)、(−1/3,1)⊂(−1,1)ですね。
中心がaで半径ρがだから、
a−ρ=a−(r−|a|)=a+|a|−r
a+ρ=a+(r−|a})=a−|a|+r
となり、
(a+|a|−r,a−|a|+r)⊂(−r,r)
となる。
r=1、a=1/2、1/3を入れれば、こうなることがわかると思います。

「ネムネコは無謬!!絶対に間違いを犯さない」と信じて疑っていないから、ときにこんなミスを犯してしまう。

ねこ騙し数学の記事の下書き原稿を書き終えても、「オレが間違えるわけねぇねっか〜」ということで、まず読み返すことはないにゃ。
そして、ブログにアップし、自分の記事を読み返して初めて間違いに気づく(^^ゞ

ケアレス・ミス、計算ミスは得意中の得意だから、学生時代は、数学の答案用紙は、解答終了後に何度も何度も舐めるように読み返したもんだった。
それでも自分の間違いに気づかない。
「ネムネコは無謬」というネムネコ無謬神話を信じて疑っていないから、見つけられないんだケロ。
その癖、他人のミスはすぐに見つけられる(^^ゞ
きっと、心の奥底で「アイツはネムネコではないから、絶対にどこか間違っているに違いにない」と思っているに違いない(^^ゞ

ネムネコ無謬神話に傷がつくといけないので、記事の方はこれをあげたらすぐに直すにゃ(^^ゞ



第8回 複素平面の集合 [複素解析]

第8回 複素平面の集合



複素平面の集合


中心がa(複素数)で半径ρ>0の円は|z–aで与えられる。特に|z|=1単位円である。
開円板とは|z–aである。閉円板とは|z–a|≦ρである。

ここまでを説明するにゃ。

z=x+iy
a=α+iyとすると、z–a=(x–α)+i(y–β)になるので、


となり、これを2乗すると


となって、点(x,y)は点(α,β)を中心とする半径ρの円になる。
このことから、|z–aaを中心とする半径ρの円になることが理解できると思いますにゃ。


また、

となるので、これは複素平面上の点zと点aの間の距離になっているにゃ。

そして、|z|=1は原点Oを中心とする半径1の円、すなわち、単位円をあらわしている。


さらに、

になるし、

となるにゃ。

だから、そんなに難しいことを言っているわけではない。

a近傍とは、あるρ>0に対する開円板|z–aのことである

正確には、点aρ近傍とか言わなければいけないんだろうけれど、うるさいことを言い出したらキリがなくなる。


2変数関数のところで、点aε開球というのが出てきたと思いますが、閉円板は二次元の開球のこと。

とか書くと、きっと、オシャレで、格好いいにゃ(^^

集合S開集合であるとは、任意のa∈Sに対してSに含まれるような近傍が存在することである。閉集合は開集合の補集合である。

このあたりの話も2変数関数のところや微分積分のところで出てきたと思いますにゃ。
上で言っていることは、
aを中心とする半径ρ>0の開円板を仮にとすると、集合Sのどの点aに対しても適当なρ>0を与えると

とできるとき、集合Sを開集合という
ということ。


例えば、点を中心とする半径rの開円板をSとするにゃ。そして、この集合Sの任意の点をaa∈Sとすると、

にとれば、

になるので、Sは開集合ということになる。

このあたりの話は、1次元であろうが2次元であろうが、それどころかn次元でも同じなので、開区間(−r,r)を例にして考えるとわかりやすいにゃ。
この開区間の中心0を円の中心、そして、a∈(−r,r)とすれば、



となって、(−ρ,ρ)⊂(r,r)になる。aやrだとわかりづらいという人は、r=1として、a=1/2でもa=1/3としてください。
そうすると、ρ1/22/3になるので、(0,1)⊂(1,1)(1/3,1)⊂(1,1)になるにゃ。そういう話です。



では、次に連結と領域の定義をば。

集合S連結であるとは、Sの任意の2点、abをとるとき、Sに含まれる有限個の折れ線でabが結ばれることである。そして、連結な開集合を領域という。

renketsu.jpg

「絵が下手だって?」
仕方ないだろう、オレはいいお絵かきツールを持っていないんだから。
 ―――正確に言うと、持ってはいるけれど、使い方を知らない。お絵かきソフトを使うことないケロ―――

ちなみに、領域は黄色と白の境界線は含まないケロ。黄色の部分が領域ね。

この場合は、直線で結べるけれど、
renketsu2.jpg

のような場合は、この2点aとbは直線で引けないにゃ。だから、有限個の折れ線となるんだにゃ。

でも、こういうふうにSの中の任意の2点aとbが折れ線で結べるならば、連結な領域ということになるにゃ。
「任意」だからね。特定の二点が結べるのではない。

有限個の折れ線ではなく、連続な曲線で結ばれると言ってもいいのだろうけれど、何しろまだ複素関数の”連続”を定義していない・・・。それどころか、曲線の定義すらしていない(^^

今回は、複素解析でこれから使う用語の説明でした。

次回は複素関数の極限を予定しております。
次回の次は、複素関数の連続。そして、その次は複素関数の微分です。

ハッキリ言って、コーシー・リーマンの関係とか方程式と呼ばれるものが出てくるまで、1変数の微分と同じだケロ。理系向けの大学の授業では、このあたりは全てすっ飛ばして、


が存在するとき、

と書く

といきなり始まる。


そして、「わからん奴は自分で勉強しろ」となる(^^

理系の場合、わからん奴が悪いにゃ。

名著、高木貞治著『解析概論』には、複素関数の微分に関する記述は4ページに満たないにゃ。そして、いきなりここから始まっている。


第7回 複素関数 [複素解析]

第7回 複素関数


 

複素平面上の点集合Sの任意の点zに1つの複素数wが対応しているとき、wとzの関数、または、複素関数といい、w=f(z)であらわす。このとき、zを独立変数、wを従属変数という。また、Sをこの関数fの定義域という。

それで、

  

値域という。
C
は複素数(全体の集まり)だにゃ。

書いただけだにゃ。値域の定義が何をあらわしているかはわからなくてもいいにゃ。書くとこうなるというだけの話だケロ。

要するに、複素数の空でない部分集合から複素数の部分集合への多対一の対応規則fを関数と呼ぶということ。

また、z=x+iy
w=u+ivとすると、w=f(z)=f(x+iy)になるので、wは実数xとyの2変数関数となり、一般に

   u=u(x,y)

   v=u(x,y)
になるだろう。
つまり、

   w=u(x,y)+iv(x,y)

になるに違いない。

たとえば、

  
という関数fを考えると、

  

になるので、

  

となるにゃ。


じゃあ、

   w=f(z)=z
という関数fの時はどうなるか。

  

になる。

「ちょっと待った、⑨ネコ。①のとき、uとvは一変数関数じゃないか。u=u(x)=xv=v(y)=yとすべきだ。」
「だから、”一般に”という枕詞を付けたにゃ。①は”特殊”なケースだにゃ。それに、

  

と考えれば、2変数関数になっているにゃ。だから、問題はないにゃ。」

この他に、複素数z=x+iyの実数部分(実部)を取り出すRe(z)=xや虚数部分(虚部)を取り出す関数Im(z)=y、さらに複素数zの絶対値といったような複素数から実数への関数、あるいは複素数から虚数への関数も存在しますけれども、実数も虚数も複素数の部分集合なので特に区別して考える必要はないにゃ。たとえば、Re(z)のときは、u(x,y)=xv(x,y)=0と考えればいいにゃ。


それで、wを複素平面上にとったものw平面と言うにゃ。
だから、複素関数fはz平面からw平面への写像と考えることもできるにゃ。

でも、これを一つのグラフに書けるかというと、2+2=4次元になってしまうので、苦しいものがあるにゃ(^^
たとえば、
  
の場合、実部と虚部とに分けて別々に次のように書くことはできるけれど、

z=x^2-y^2.gif
z=2xy.gif

この2つのグラフを一つにまとめて書くことはちょっと無理な相談だにゃ。


まっ、そういうことです。


第6回 複素数はベクトルだケロ [複素解析]

第6回 複素数はベクトルだ


今回は、複素数はベクトルだというお話ですにゃ。


ベクトル空間とベクトルの定義

空でない集合Vの任意の要素xに対して和x+yが定義され、また、Vの任意の要素に対してスカラ倍λxVが定義されるとする。この時、以下の(1)〜(8)のが満たされるとき、Vの要素をべクルトといい、Vをベクトル空間という。

 ―――スカラは、とりあえず、実数だと思うケロ―――


(1)任意のxyVに対して
 x+y=y+x (交換法則)

(2)任意のxyzVに対して

 (x+y)+z=x+(y+z) (結合法則)

(3)零元と呼ばれる要素0Vが存在し、任意のxVに対して

 x+0=x (零元の存在)

(4)任意のxVに対してその逆元−xVが存在する。

 x+(−x)=0

(5)任意のxVと任意のλに対して

 λ(x+y)=λxy (分配法則)

(6)任意のx∈V、任意のスカラ、λμに対して

 (λ+μ)xxx (分配法則)

(7)任意のxV、任意のスカラλμに対して
 (λμ)x=λ(μx)
(8)任意のxVに対して単位のスカラ1が存在する

 1x=x

ベクトルとスカラ(実数だと思うケロ!!)を区別するために、ベクトルは斜体の太字にしましたにゃ。

零元と実数の0は、一応、違うので区別するにゃ。


ちなみに、Vを実数(の集合)Rとし、xyを実数(の要素)とすれば、Rはベクトル空間、xyはベクトルになるケロよ。
自然数Nや、整数Z、有理数Qはダメだケロよ。
なぜならば、自然数には零元0が存在しないし、逆元も存在しないにゃ。
整数、有理数に、たとえば、x∈Qに無理数の√2をかけると、掛けたものは無理数になるので、√2x∉Qになってしまうにゃ。だから、自然数、整数、有理数はベクトルにならないにゃ。
でも、実数は(1)〜(8)の条件をすべて満たす。だから、実数は(1次元の)ベクトルと考えることができる。
今は、とりあえず、スカラを実数としているけれど、例えば、スカラをさらに広げて虚数や複素数まで広げると、実数はベクトルじゃなくなる。たとえば、x∈Rとして、これに虚数単位iをかけると、ixは虚数になるので、ix∉Rになってベクトルじゃなくなる。つまり、定義の仕方によって、実数はベクトルになったり、ベクトルでなくなったりするというわけだにゃ。
だけど、今はとりあえずスカラは実数だとしておくにゃ。

複素数はベクトルだケロ

では、複素数はどうか。


複素数とは、

 

とあらわすことのできる数だにゃ。
そして、複素数全体の集合をCとするにゃ。


これにスカラλ(実数)をかけると、

 

となるにゃ。それでで、λxλyは実数だから、λz∈Cとなる。

 

とすると、

 

になるにゃ。

交換法則や結合法則が成り立つことはほとんど明らかだにゃ。
零元は

 0=0+0i

と定義すればいいにゃ。
じゃ、これは0と同じか、違うのか?
死んだふりをするにゃ(^^


厳密なことを言うと、違う・・・。でも、0+0iの簡略表現として0といえば、同じとも言える。このあたりは微妙だケロ。


逆元は、

 
とすれば、

 

となるので、逆元は確かに存在するにゃ。
(5)〜(8)が成り立つのは、ほとんど明らかでしょっ。


このことから、複素数はベクトルということになるにゃ。

それで、前回、複素平面(ガウス平面)をやったにゃ。z=x+iyという複素数を複素平面上の点と考え、これを(x,y)と表現することにするにゃ。

gauss-plane.GIF


そうすると、

 

と表現できるにゃ。

そして、その和は

 

になるにゃ。

そして、

 

となり、幾何学的な2次元ベクトルと一致するにゃ。


まっ、そういうことだにゃ。


第5回 演習1 [複素解析]



第5回 演習1


予定を変更して、前回やったことの復習をかねて、問題を少し解いてみることにするにゃ。


問題1次の複素数を極形式で表わせ。

 

【解】

z=x+iyとするにゃ。

 
あるいは、偏角の値域を変えて

 

としてもいいにゃ。

だって、sincosは周期の周期関数だから、

 
になるにゃ。

さて、問題は(2)だにゃ。とりあえず、
 

とするにゃ。そうすると、

 

だにゃ。

で、

 

とすると、

 

となって、

 

となるにゃ。
なんで、こうなるかというと、sincosは周期の周期関数で

 

となるから。

で、−πθ≦πに制限すると、

 
となって、
 

この解き方は、混乱させるだけで、あまりいい解き方でないのかもしれない。

だから、

 
とするにゃ。

さらに、

 

となって、①〜③を連立させ、xとyを解いたほうがわかりやすいのかもしれない。

②から

 

③からxとyは異符号なのがわかるから(同符号ならばxy>0)、x=−yだにゃ。

これを①に放り込むと、

 

となるにゃ。

 


ちなみに、前回、

 

になるというのをやったにゃ。

 

とすれば、

 eq-5-1.png

さらに、一般的に、nを自然数とすると

 eq-5-2.png

となるにゃ。
これをド・マーブルの定理という。

証明は数学的帰納法を使って、
 eq-5-3.png

でおしまいだケロ。


問題2 次のことを証明しろ。

 eq-5-4.png

ただし、z=x+iy

【解】

何やら難しそうだけれど、虚仮威しで、実は簡単だにゃ。

 eq-5-5.png
だにゃ。

まず、

 eq-5-6.png
を証明してみますか。
右辺、左辺ともに非負なので、2乗しても大小は変わらないケロ。

 

だから、
 
eq-5-6.png

次に、

 eq-5-8.png

 eq-5-9.png


ちなみに、

 eq-5-6.png

という不等式は、覚えておくといいよ。この不等式は、数学の中でよく使うんで。

後のほうでこれは使うんだケロ。