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第28回 コーシーの積分公式 [複素解析]

第28回 コーシーの積分公式

コーシーの積分定理とともに複素解析において最も重要な定理の一つ、コーシーの積分公式をやりますにゃ。

定理 コーシーの積分公式

f(z)は領域Dであり、曲線Cはその周および内部がDに含まれる閉曲線である。Cの内部にある1点αに対して次の関係が成り立つ。

  

【証明】
C
の内部に、αを中心とする半径ρの円Kをかく。

zu-28-1.jpg

は、CKの周およびそれぞれに囲まれた領域で正則だから、コーシーの定理の系1から

  
f(z)
z=αで連続だから、任意の正数εに対して、Kの半径ρを十分小さくすれば、K上のすべてのzについて
  
が成り立つ(有界な閉集合Sで連続な関数f(z)Sで一様連続)。
よって、
  
よって、
  


で、このコーシーの積分定理を使うと、次の問題の積分を簡単に求めることができる。

問題 Cが、その内部にiを含み−iを含まないような閉曲線であるとき、次の値を求めよ。
  

zu-28-2.jpg


【解】
被積分関数は

  
となる。

それで、
  
とすると、f(z)Cの周とその内部で正則。

コーシーの積分公式は次のように書き換えられるので、

  

よって、問題の積分の値は




コーシーの積分公式の系
f(z)
は領域Dで正則とする。CDの中にある閉曲線であり、Cの内部にあって、かつ互いにその他の外部にあるような閉曲線である。さらに、Cで囲まれた領域およびその境界がDに含まれているとき、その領域の任意の1点をαとすると、次の関係が成り立つ。
  

【証明】
α
を中心とし、Cの内部にあってかつの外部にある円Kをかく。
CおよびKによって囲まれた領域とその境界で正則であるから、コーシーの積分定理の系1より、
  
また、コーシーの積分公式より

  

よって、
  

証明終わり。


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コメント 5

ddtddtddt

[コーシーの積分公式の周辺-1]
 ddt^3です。
 以前WeekendmathematicsというHPに出入りし、好き勝手に怪しげな事を書いておりました。そのHPは残念ながら現在は半閉鎖状態です。管理人さんは現役の高校数学教師でしたが教頭に出世して忙しくなり、HPを管理し切れなくなったみたいです。とそこへ「・・・記事を書いて」などとお誘いがあったもので、ご迷惑かも知れませんが「これは渡りに船」・・・と。既にプロさんと好き勝手してますが・・・(^^;)。

 コーシーの積分定理と積分公式から、以下を導けます。複素平面をz=x+iyで表すとして、
  (1) z=0を外点とする任意の領域Rで、∫dz/z=0。ただし∫dzはRの境界C上の複素積分。
  (2) z=0を内点とする任意の領域Rで、∫dz/z=2πi。
  (3) z=0で形式的に、1/z=∞。

 これを見た時「デルタ関数の積分だ!」と思ったものでした(係数2πi)。というのは、複素関数を実と虚部の成分関数でf(z)=u(x,y)+iv(x,y)と書けば、複素(線)積分はガウスの発散定理で、実質は実の領域積分に直せるからです。
 数値計算を(間違って?(^^))仕事にし、物理数学と渋々直面した人は、必ず1回はグリーン関数法を経験します。グリーン関数法は、グリーンさんがグリーンの公式を使って線形偏微分方程式の便利解法として開発したものです。
 領域Rで定義される線形偏微分方程式を表す線形作用素をLとし、Lf(x,y)=g(x,y)はRの境界Cで境界条件Bを満たすとします。ここでf(x,y)は未知関数,g(x,y)は既知関数です。C上でBを満たし、Rで、
  LG(x,y,ξ,η)=δ(ξ,η),(ξ,η)∈R
を満たすG(x,y,ξ,η)がグリーン関数です。δ(ξ,η)は(ξ,η)に特異点を持つデルタ関数。Gが見つかれば、線形作用素Lには解の重ね合わせが効くので、
  f(x,y)=∫g(ξ,η)G(x,y,ξ,η)dξdη
でf(x,y)を計算できます。∫dξdηはRで行います。
 ところが境界条件Bを満たすグリーン関数をみつける計算の方が、Lf=gを解くよりよっぽど難しいなんて事態は、よく起こります。そこで出来るだけ簡単なグリーン関数を使用して、境界条件のずれは数値的に合わせようとグリーン関数法を現代っぽくアレンジしたのが、境界要素法です。
 Lとして一番普及してるのは、非圧縮性渦無し完全流体と静電場の支配方程式に現れるラプラシアンΔ=(∂/∂x)^2+(∂/∂y)^2です。Δに対するグリーン関数は、
  Δφ=δ(0)
と書けます。とりあえずδは原点に特異点を持つとしますが、任意の位置に特異点を持つ場合は、上式の解を平行移動するだけです。境界要素法では出来るだけ簡単なグリーン関数を使いたいので、普通はφを等方的とし境界条件は付けません。この条件を付けたグリーン関数を、ラプラス方程式の基本解と呼びます。
 等方的なφとすれば極座標に移った方が便利なので、Δをr=√(x^2+y^2)で書き変えます。
  Δ=(∂/∂r)^2+1/r×∂/∂r
   ※等方的なので(1/r)^2×(∂/∂θ)^2の項は0になる。
 δ(0)はr=0以外では0です。従って実質的には、r≠0で、
  ((∂/∂r)^2+1/r×∂/∂r)φ(r)=0
を解けば良い事になります。これは線形常微分方程式です。解の公式を適用し、
  φ(r)=Alog(r)+B
を得ます。AとBは積分定数。非圧縮性渦無し完全流体でも静電場でもφはポテンシャルですので、B=0に選べます。Aの決定にはデルタ関数の性質を使います。
  ∫Δφdxdy=∫δ(0)dxdy=1
 ∫dxdyは、原点を内点として含む任意の領域Rで行います。再びδの性質から、r≠0ではδ(0)=0なので、Rとして半径εの円が可能です。∫Δφdxdyはそのままでは積分できないのでガウスの発散定理を使い、円周上の線積分ε∫dθに直します。θ=0~2πです。そうするとφ(r)の具体的形から、
  ∫Δφdxdy=ε∫A×dθ/ε=2πA
が得られて、2πA=1よりA=1/(2π)になります。
 すなわちラプラス方程式の基本解は、
  φ(r)=1/(2π)×log(r)
です。δが(ξ,η)に特異点を持つ場合は、r=√((x-ξ)^2+(y-η)^2)とします。
 (1)~(3)はデルタ関数の実用的な定義と言えますが、(1)~(3)のかわりに、基本解φがラプラス方程式、
  Δφ=δ
を満たす事を、デルタ関数の定義にも出来るはずです。

 この事実と∫dz/zの関係を調べてみると、・・・[コーシーの積分公式の周辺-2]へ続く・・・。
 ・・・と、勝手に書いちゃいます(^^;)。
by ddtddtddt (2017-07-21 09:53) 

ddtddtddt

[コーシーの積分公式の周辺-2]
 複素平面をz=x+iyで表します。
 複素積分∫dz/zを調べるために、まずdz/zを計算します。dz=dx+idyです。
  dz/z=(dx+idy)/(x+iy)
ですが、分子分母にx-iyをかけて分母を実数化します。r^2=x^2+y^2です。
  dz/z=(x-iy)(dx+idy)/(x^2+y^2)
     =x/r^2×dx+y/r^2×dy+i(-y/r^2×dx+x/r^2×dy)

 ところでx/r^2ってなんでしょう?。
  x/r^2=1/r×x/r=d(log(r))/dr×∂r/∂x=∂(log(r))/∂x
ですよね?(^^)。同様に、
  y/r^2=∂(log(r))/∂y
です(^^)。ここで内積をac+bd=(a,b)・(c,d)と書く事にして、上記2つを使うと、
  dz/z=(∂(log(r))/∂y,-∂(log(r))/∂x)・(dy,-dx)
   +i×(∂(log(r))/∂x, ∂(log(r))/∂y)・(dy,-dx)
と書ける事がわかります。
 複素積分は線積分です。積分路Cの接線線素ベクトルは(dx,dy)になります。(dy,-dx)は、それを右に90°回転させたものです。Cを閉曲線とすれば、すなわち外法線線素ベクトルです。(dy,-dx)=ds。

 いま勾配を∇=(∂/∂x,∂/∂y)、歪勾配を∇'=(∂/∂y,-∂/∂x)で定義し、Cを領域Rの境界とすれば、
  ∫dz/z=∫∇'(log(r))・ds+i∫∇(log(r))・ds
になります。ガウスの発散定理から、r=0を除いて、
  ∫∇'(log(r))・ds=∫div・∇'(log(r))dxdy
  i∫∇(log(r))・ds=i∫div・∇(log(r))dxdy

 div・∇=∇・∇=Δであり、div・∇'は直接計算すれば、
  div・∇'=(∂/∂x,∂/∂y)・(∂/∂y,-∂/∂x)
=∂^2/∂x/∂y-∂^2/∂y/∂x=0
になります(∇'は2次元のrotです)。
 従ってr=0を含まぬ任意の領域で
  ∫∇'(log(r))・ds=∫div・∇'(log(r))dxdy=0
なので、Rがr=0を含む場合でも、Rを半径εの円に取り直すのが可能とわかります。
 dcをCの線素として、ds=(cosθ,sinθ)dcの形に表すと、
  ∫∇'(log(r))・ds=∫(∂(log(r))/∂y,-∂(log(r))/∂x)・(cosθ,sinθ)dc
と書けます。C上ではr=ε(ε≠0)に注意し、
  ∂(log(r))/∂y=1/ε×y/ε=sinθ/ε
  ∂(log(r))/∂x=1/ε×x/ε=cosθ/ε
になる事に気づければ、
  ∫∇'(log(r))・ds=1/ε×∫(cosθsinθ-cosθsinθ)dc=0
が得られます。εは任意でした。
 よってε-δ論法で、Rにr=0を含めた時も、
  ∫∇'(log(r))・ds=0
が言えます(rotのdivは0が言えた)。
 そういう訳で、
  ∫dz/z=i∫Δ(log(r))dxdy
になります。

 ところが前回の話から、1/(2π)×log(r)は、
  Δφ=δ(0)
を満たすのでした。従って、
  ∫dz/z=i∫Δ(log(r))dxdy=2πi∫δ(0)dxdy=2πi
となります(Rがr=0を内点として含む場合)。

 「デルタ関数がいたぁ~!」と、自分は勝手に大喜びしました(^^;)。
 後は、∫f(z)/z dz=f(0)を導くだけです。div(1/z)はデルタ関数なんだから、こんなの明らかに違いないと、喜び勇んで計算にかかりました・・・(^^;)。
by ddtddtddt (2017-07-21 13:20) 

nemurineko

こんにちは。

このコメントを「ねこ騙し数学」への特別寄稿ということで、ねこ騙し数学の記事としてアップさせてもらいました(^^)

「ここはこうして欲しい」という御注文があるようでしたら、対応させていただきます。
たとえば、積分経路や積分の領域を積分記号の下添字とあらわすとか・・・。

また、式の書き間違いがありましたら、指摘したください。すぐに修正いたします。


by nemurineko (2017-07-21 17:09) 

ddtddtddt

 ddt^3です。

 私の秘かな(?)「出たがり願望」を満たして頂けて、ありがとうございます(^^;)。

>たとえば、積分経路や積分の領域を積分記号の下添字とあらわすとか・・・。

 特にないです。いずれにしろ2重積分以上の表現などは、どう書いたところでわかりにくいので、むしろネコさんが通常使用されている書き方で通した方が、読む方も(いたとして(^^;))わかりやすいと思います。

 間違いを発見しました。「周辺-2」の最後の一行ですが、
  ∫f(z)/z dz=f(0)
ではなく、
  ∫f(z)/z dz=2πif(0)
でした・・・。

 それから「・・・こんなの明らかに違いないと、喜び勇んで計算に」かかった結果は、自明じゃありませんでした。f(z)に対するコーシー・リーマン関係まで万遍なく使わないと、示せません(^^;)。

by ddtddtddt (2017-07-23 13:33) 

nemurineko

こんにちは。

☆読む方も(いたとして(^^;))
◇ブログのアクセス機能でしらべたところ、20〜30人くらいのかたが読んだようですね。
by nemurineko (2017-07-23 13:55) 

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